アルツハイマー型認知症には、
老人性アルツハイマー型認知症と
若年性アルツハイマー型認知症とがあります。
呼び方では区別されていますが、
どちらも脳の異常により認知症が
進行していくことに変わりはありません。
若年性アルツハイマー型認知症は、
老人性と比較して脳の萎縮が早く
認知の進行速度も速いといわれています。
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若年性アルツハイマー型認知症の初期症状は?年齢は何歳くらいでなるの?
18歳以上65歳未満の人に認知症との診断が下ると、
若年性アルツハイマー型認知症となります。
発病の平均年齢は51歳。
発病すると、
物忘れの症状が出始め、
仕事や生活に支障がでてきます。
発症からの平均寿命は
8年から15年といわれていますが、
その間に進行が進むと、
看護や介護を必要とする状態となってしまいます。
初期症状では、
うつ病と似たケースが多くなります。
物忘れから始まり、
時間、場所、人の見当がつかなくなり、
判断ができなくなります。
これらの記憶障害や見当識障害に加えて、
言葉がうまくでてこないという言語障害や
意欲低下などの症状も現れ、
怒りっぽいなど性格にも変化が現れます。
また、
頭痛やめまいなどの体調不良も現れてきますが、
これらの症状はうつ病と共通しているので、
病院を受診しても
正しい診断が下されない場合があります。
しかし、
症状が進行するに従い、
日にちがわからない、
自分がどこにいるのかわからない、といった
うつ病とは違った認知症状が現れてきます。
アルツハイマー型認知症の特徴は、
側頭葉、頭頂葉、後頭葉の大脳の後半部の萎縮が
進行することです。
初期段階では、
側頭葉の海馬の脳神経細胞が減少し始めます。
海馬は短期の記憶をつかさどる部分です。
この部分に損傷を受けてしまうと、
つい先ほどの行動や、
記憶したことを思い出すことが出来なくなります。
中期段階では、
瞬間的なことしか理解できなくなり、
急に大声を出すなど行動障害が現れてきます。
そして後期段階となると、
行動障害は減少しますが、けいれんを起こしたり、
食事や歩行も困難な状態となって
看護や介護が必要な状態となります。
次第に動くことも難しくなり、
寝たきりの状態となってしまいます。
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若年性アルツハイマーの原因や診断方法、診断基準は?
老人性アルツハイマー型認知症と
若年性アルツハイマー型認知症のどちらも
原因はβ(ベータ)アミロイドによる
老人斑が原因となり起こる脳の萎縮です。
アミロイドβというアミノ酸ペプチドが
脳に蓄積されることで、
脳の神経細胞が壊されてしまい、
やがて脳全体が萎縮してしまうのです。
20代での
若年性アルツハイマー型認知症の発病もあります。
この場合、
多くは遺伝性による家族性アルツハイマー病が
原因となります。
3親等以内の親族のなかに、
若年性アルツハイマー型認知症の方が複数いた場合は
注意が必要となります。
家族性アルツハイマー病患者の約半数に、
たんぱく質の設計図となる3種類の遺伝子に
変異が比較的多く見られることが認められています。
若年性アルツハイマー型認知症の診断方法は、
問診や認知機能検査の他、
CTやMRIなどの脳の画像診断で診断します。
認知機能検査では、
「MMSE検査」
「長谷川式簡易知能評価スケール」
が広く利用されています。
どちらの検査方法でも、
記憶力、計算力、言語力、見当識などの能力を
テストしてチェックします。
今現在の日時や、
自分がどこにいるかなど
状況把握が正確にできているかを測定しますが
5~10分程度の短時間で出来る
簡単な知能評価テストとなっています。
新潟大学は、
2015年8月20日に若年性認知症の原因疾患となる
「HDLS」の臨床診断基準を策定したことを報告しました。
(HDLS:軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症)
HDLSは若年性認知症の原因疾患の1つとされています。
この診断基準を用いることで、
今後の病態解明や
治療法開発の研究などの進展が大きく期待されています。
若年性アルツハイマー予防法は?食事や食べ物で気をつけることは?
どんな病気もそうですが、
できるだけ初期に予防・治療をしたいものですよね。
若年性アルツハイマー型認知症の予防は、
食事や運動、喫煙などの生活習慣を見直し、
規則正しい生活を送ることです。
最近では認知症の原因といわれているアミロイドβを分解し、
脳に蓄積しないようにする酵素が特定されました。
その酵素がインスリン分解酵素です。
この酵素が血液中に一定量あれば
アミロイドβが脳に蓄積しないのです。
高血糖になるとインスリンが大量に分泌されて、
血糖を下げようとします。
インスリン分解酵素は
インスリンの分解に使われますから、
高血糖の状態だとアミロイドβが分解されなくなり、
脳へ蓄積されてしまいます。
つまり、
高血糖の改善がアルツハイマーの予防となるのです。
内臓脂肪が多い、運動不足、筋肉不足、
炭水化物の過剰摂取などは、
血糖が上昇しインスリンを大量に必要としますので
改善が必要なのです。
予防のために食事で気をつけることは、
食べる順番です。
最初に食物繊維を食べることで、
消化や吸収が緩やかになり
血糖値の急激な上昇を抑えることができます。
また、
高血圧も認知症の危険因子の一つといわれています。
常に減塩を心掛け、
ビタミンEの抗酸化作用や、ビタミンCで免疫力を高める、
不飽和脂肪酸のDHAやEPAを積極的に摂取するなど、
食べ物での予防を心がけることも大切となります。