WHO(世界保健機関)では2018年にゲーム依存症(ゲーム障害)が、新たな病気として国際疾病分類に加えられました。
日本の厚労省の調査(2017年)でも、ネット依存の疑いがある成人は約421万人、中学生・高校生で約93万人と推定されています。
また小学生の中にも病院などを受診し、ゲーム依存症と疾患認定されることも多くなってきたようです。
ゲーム依存症はゲームをする人であれば、誰にでも起こる可能性があります。
前もって兆候を知ることで早めに対応策をとりましょう。
そのゲーム依存症についての情報やチェック、治療法についてご紹介します。
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ゲーム依存症とは?依存症の症状は?
ゲーム依存症とは、日常生活に支障をきたすほどゲームに熱中する症状を言います。
そして止めようと思ってもやめられないで、ゲームにのめり込んでしまいます。
ゲーム依存症には、主に次の症状があります。
・ゲームをする時間をコントロールできず、時間を減らすことや、やめることができない。
・他の日常生活への関心が薄れ、日常の活動よりもゲームが優先している。
・ゲームにより問題が起きていても、ゲームをやめることができない。
・学校や会社、家事などの日常生活に著しい支障が起きている。
これらの症状が全て当てはまり、12ヵ月以上続くとゲーム障害と診断されます。
またゲーム障害により、学校の欠席、会社への欠勤、引きこもりや昼夜逆転、朝起きられないという問題が起こったりします。さらに重症となると、物を壊すことや家族に対して暴力をふるったりすることもあります。
ゲーム依存症のチェックリスト、チェックシートはあるの?
依存症なのか判断するためには、次のチェックリスト(アメリカ精神医学会の基準を参考)
の質問に回答してくださいね。
①満足するためには、ゲームを使用する時間を段々長くしないといけないと感じている。
②ゲーム使用の制限や時間を減らすこと、完全にやめようとしたが、うまくいかなかったことが何回かあった。
③ゲーム使用時間を短くするとか、完全にやめようとしたとき、落ち着かない、不機嫌、落ち込み、イライラなどを感じる。
④使い始めに思ったより、実際に長い時間ゲームをしている。
⑤ゲームのために大切な友人関係や学校、部活動のことが台無しになることや、危うくするようなことがあった。
⑥ゲームへの熱中しすぎを隠すために、家族、先生、友人、その他の人に嘘をついたことがある。
⑦問題からの逃避、絶望的な気持ち、罪悪感、不安、落ち込みなどという気持ちから逃避するためにゲームをしている。
これらの項目について、12ヵ月間に「はい」が5項目以上あれば、ゲーム依存症の疑いがあります。
まずは、ゲームをやめるか、ゲームをする時間を減らしましょう。
またアメリカの心理学者キンバリー・ヤング博士が作成した「インターネット・ゲーム依存度チェックシート」が、独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センターで情報提供されています。
(参考:https://kurihama.hosp.go.jp/hospital/screening/iat.html)簡単に依存度チェックができるので、心配な方はチェックすると良いですよ。
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ゲーム依存症の相談先は?病院なら何科で診察を受けるの?
そして依存症は脳の病気なので、家族や周囲の人がどうにかしようとしても、なかなか問題を解決することはできません。
無理にやめさせようとしたり、ゲーム機を隠したりすると、かえって状況を悪くする恐れもあります。
中には衝動的、攻撃的になり怒りをコントロールできなくなる場合もあるので、ゲーム依存症の人に対するには、しっかりした知識が必要です。
ゲーム依存についての相談については、精神保健福祉センターや保健所などで相談を受け付けてくれます。
病院だとゲーム依存症は精神疾患の一種なので、精神科のある病院を受診することになります。
ただしゲーム依存症への対応ができる医療機関は全国的に多いわけではないので、診察が可能かどうか事前に確認することをおすすめします。
独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センターのHPでゲーム障害治療施設リストが情報提供されているので参考にしてください。
(参考:https://kurihama.hosp.go.jp/hospital/net_list.html)
ゲーム依存を治すには、どんな治療法があるの?
診断によりゲーム依存症と診断された場合の治療法には、一例ですが主に次の方法があります。
・診察・・・患者の日常生活や健康状態を確認して治療方針を立てます。その方針に従い定期的に通院して、依存症のチェックや規則正しい生活リズムを身につけていきます。
・ミーティング・・・ミーティングなどの参加により、お互いが自発的に問題解決する道を探すことや、自分自身の生き方について学びます。
・カウンセリング・・・ゲーム依存症についての理解を深め、ゲームをする時間を減らす、やめるなど時間をコントロールすることに気づくように対話を行います。
また、ゲームにのめり込む理由や、ゲームに対する思い、家族や会社、日常的な悩みごとやストレスなどを聞き取ります。そして周囲の人達との人減関係を修復・再構築していくことが必要です。
・デイケア・・・集団でスポーツやレクリエーション、食事などをします。それらによってゲーム以外にも楽しいことがあることを実感します。またゲーム時間を減らすにはどのようにすると良いか、ゲーム以外の活動を充実させる方法などをディスカッションします。
・コミュニケーションアップ・・・趣味や目標を立てた集団行動により、コミュニケーション能力をアップします。また家族も一緒に参加する家族会やキャンプを行うところもあります。
・入院療法・・・カウンセリングやデイケアなどで症状が改善されないときには、病院に入院して物理的にゲームができない状況にして治療することが検討されます。
入院することで規則正しい日常生活のリズムを取り戻し、退院後のゲームとの関わりについても、具体的に話し合います。
ただし、入院療法を行う医療機関は少ないですね。
これらの治療の目的は、強制的にゲームやネットを完全に排除することではありません。
現実の世界では、ネットを有効的に使用することは必要です。
あくまで、適正にゲームやネットを使用でき、人間関係を正常に戻すことです。