一般家庭の薬箱には、葛根湯という薬が非常に多く入っているようですね。
我が家の薬箱を覗いて見ると、やっぱり入っていました。
葛根湯は、無くなったと思っていたら、いつのまにか補充してしまうという、日本では古くから馴染みのある漢方薬です。
この葛根湯とは、どんな薬なのでしょうか?
またどのような効果があるのか、副作用などはないかなどについてもまとめましたので、ご紹介します。
葛根湯とはどんな薬?
葛根湯(かっこんとう)とは、自然の草や木から採取した生薬の組み合わせで出来ている、日本で最も親しまれている漢方薬の一つです。
また、基本漢方薬の桂枝湯(けいしとう:桂皮、芍薬、生姜、甘草、大棗)だけでは発汗作用が弱いので、発汗作用が強い麻黄と鎮痛作用がある葛根を加えることで、さらに発汗作用を強力にしたものです。
ほとんどの家庭では、風邪のひき始めや頭痛や肩こりなどに使われています。
葛根湯の起源は古く、約1800年前に遡る中国の後漢末期から三国時代に編集された古典書「傷寒論」で紹介されている中国の伝統的な医薬品の一つです。
日本へは5~6世紀頃に中国から伝来されたと言われ、その後日本独自の体系化が進み、西洋医学が蘭方と呼ばれたときには、中国伝来の葛根湯などは漢方と呼ばれるようになりました。
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葛根湯にはどんな効果があるの?
葛根湯の七つの成分の主な効果は、次のとおりです。
・葛根(かっこん)・・・肩こり、首のこり、筋肉痛、鎮痛、発汗、解熱など。
・麻黄(まおう)・・・鼻づまり、咳、発汗、解熱、頻尿、自律神経改善など。
・桂皮(けいひ)・・・解熱、鎮静、血圧降下、抗菌、抗ウィルスなど。
・芍薬(しゃくやく)・・・消炎、鎮痛、抗菌、止血、抗けいれんなど。
・生姜(しょうきょう)・・・吐き気、下痢、健胃、鎮痛、吐き気、発汗、解熱など。
・甘草(かんぞう)・・・喘息、消炎、アレルギー症状の緩和など。
・大棗(たいそう)・・・鎮静、利尿、頻尿、強壮、食欲不振など。
これらの生薬の組み合わせでできているのが葛根湯で、風邪のひき始めでちょっと寒気を感じるときや、喉の調子が今一つなどの時に効果があります。
また、筋肉痛や肩こり、頭痛、蕁麻疹、アレルギーなどにも幅広く適応します。
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葛根湯の飲み方は?
基本的に漢方薬は、食前や食間に飲みます。
空腹時に飲むのは、葛根湯の場合も同じですね。
通常は、1日7.5gを2~3回に分けて服用します。
食前30分前と食間は食後2時間程度が目安となり、顆粒はお湯で溶かしてから時間をかけてゆったりとした気分で飲みましょう。
ただし、飲むときに吐き気や食欲が無くなるようなときや飲み忘れたときは、食後に飲んでも構いません。
処方してもらうときは、持病や他に服用している薬を、医師に教えて相談してください。
葛根湯に副作用はあるの?子供や妊婦さんも飲めるの?
副作用がまったくないわけではなく、主に次のものがあります。
軽い副作用としては、発疹、発赤、不眠、発汗過多、動悸、食欲不振、頻脈、胃部不快感、嘔吐、排尿障害などがまれにみられます。
重篤な副作用には次の症状があります。
・偽アルドステロン症・・・低カリウム血症(脱力感、むくみ、麻痺)、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、体重増加など。
・肝機能障害・・・血液の肝機能検査値の異常、黄疸など。
副作用には個人差があり重篤なものはめったにないですが、似た症状に気づいたときは、服用を中止して医師の診断を受けましょう。
服用に関しては、子供(新生児、乳児、幼児、小児)に対して安全性が確立されていないとされています。
ただし、危険という意味ではなく、子供用の薬ではないので使用経験が少ないということです。
はっきり言えば、子供に積極的に使用する薬ではないということです。
また妊婦さんについても安全性が確立されていないので、治療上の有益性が危険性を上回る場合のみに投与するとされています。
ほとんどの妊婦さんは、飲まない方が良いということです。
葛根湯に飲み合わせはあるの?
飲み合わせは1個ずつでは問題ない薬ですが、他の薬と一緒に飲むと良くない影響が出ることを言います。
例えば、頭痛の薬を服用しているときに、お腹が痛いからといって腹薬を飲み足したら薬が効かないとか、余計に頭痛がひどくなったということがあったとします。
このように薬同士が反応して悪い結果がでることを、飲み合わせ(相互作用)と言います。
葛根湯の飲み合わせは、エフェドリン類、テォフィリン、チロキシン、アドレナリン、リオオロニン、カンゾウ含有製剤などがあります。
飲み合わせによって不眠、発汗、動悸、だるさなど副作用に似た症状がでることがあるので、なるべく他の薬と一緒に飲まない方が良いです。
他の薬と一緒に服用する場合は、医師に相談して適切な指示が必要です。
葛根湯で注意することは?
葛根湯を飲むときには、主に次のことに注意しなければなりません。
・強い発汗作用がありますが、元々汗をかきやすい体質の人は効果が表れにくいです。
・葛根湯は、覚醒物質が入っているので目が覚める薬と言われますが、相反して眠気をさそう成分も入っているので、まれに眠気の方が強い場合もあります。
車の運転には気を付けましょう。
・病後の衰弱している時期や体力が極度に落ちている人は、副作用の症状が現れやすくなります。
副作用の症状が出たときは、服用をやめて医師に相談しましょう。
・狭心症、心筋梗塞などの循環器系の持病がある人は、高血圧、心臓病、脳卒中の恐れがあるので注意が必要です。
医師に服用している薬を教えて、服用できるか相談しましょう。
・高齢者が使用する場合は、生理機能が衰えているので、薬量を減量する必要があります。
・長期に渡って服用している場合の効果には個人差があるので、効果が出ない場合でも自分から服用をやめることはしないで、継続するか変更するかは医師や薬剤師に相談して指示に従ってください。