ストレスには、目標、夢、充実感、良い人間関係などの自分を進歩させたり勇気づけたり、元気になる「良いストレス」と人間関係の不和、疲労、不安などで身体が苦しくなったり、精神的に不安定になったり、やる気をなくすなどの「悪いストレス」があります。
良いストレスは問題ないのですが、悪いストレスを放置すると精神的に不安定や身体に変調をきたし、生活や仕事に支障をきたすことがあります。
さらにストレスが限界を超えると自律神経が興奮し、心拍数が増え血圧が高くなると言ったストレス反応が起こり、うつ病、胃炎、胃潰瘍、糖尿病、心筋梗塞などの病気を引き起こします。
日本では、ストレスが関連すると思われる自殺やうつ病が非常に多く(2014年自殺者25,427人内勤務問題2,227人)職場、仕事におけるメンタルヘルスの改善が緊急の課題となっていました。
その改善方法として生れたストレスチェック制度を説明します。
ストレスチェック制度とは?
ストレスチェック制度は、労働者が自分の状態を知ることで、ストレスをため過ぎないように対処したり、ストレスが高い状態の場合は医師の面接を受けて助言をもらったり、会社側に仕事の軽減などの措置を実施してもらったり、職場の改善につなげたりすることで、うつなどのメンタルヘルス不調を未然に防止するための仕組みです。
労働安全衛生法の一部改正により、2015年12月1日にストレスチェック制度が施行されました。
ストレスチェック制度に基づき、労働者が50人以上いる事業所では、毎年1回ストレスチェックを「全ての労働者」に対して実施することが義務付けられました。
ストレスチェックとは、ストレスに関する質問票(選択回答)に労働者が記入し、集計・分析することで、自分のストレスがどのような状態にあるかを調べる検査です。
トレスチェック制度の対象者は?流れは?
導入前の準備(実施方法、
社内ルール策定)→
厚生労働省作成「職業性ストレス調査簡易表」(57項目質問票)を利用して労働者本人が記入→
ストレス状況の評価・医師の面接指導の要否の判定→
本人に結果通知→
①面接指導該当者(高ストレス)有り
②面接指導該当者無し
①→面接指導該当者から面接指導申出→医師による面接指導→就業上の措置の要否・内容について医師から意見聴取→就業上の措置の実施
②個人の結果集計・分析→職場環境の改善
※ストレスチェックと面接指導の実施状況は、毎年労働基準監督署に所定様式で報告する必要があります。
ストレスチェック制度!実際はどんな質問が出るの?
国が推奨する57項目の質問票(職業性ストレス簡易調査票)の内容について、一部抜粋し紹介します。
Aあなたの仕事について伺います。最もあてはまるものに○を付けてください。
1.非常にたくさんの仕事をしなければならない
2.時間内に仕事が処理しきれない
3.一生懸命働かなければならない・・・他14項目
B最近1カ月間のあなたの状態について伺います。最もあてはまるものに○を付けてください。
1.活気がわいてくる
2.元気がいっぱいだ
3.生き生きする・・・26項目
Cあなたの周りの方々について伺います。最もあてはまるものに○を付けてください。
次の人たちはどのくらい気軽に話ができますか?
1.上司
2.職場の同僚
3.配偶者・友人等・・・他6項目
D満足度について(本人の4段階評価)
1.仕事に満足だ
2.家庭生活に満足だ
ストレスチェックを怠った場合に直接罰則が課されることはありません。
しかしストレスチェックを行っていない事業所で、精神障害や労働災害が起きた場合、安全配慮義務違反として、多額の賠償金を支払うことになることがあります。
事業所として従業員のメンタル面や労働環境への配慮は当然のことと思います。
ストレスチェック制度でメンタルヘルスの改善を図り、安全で健全な職場を目指しましょう!