大腸菌と聞いて真っ先に思い浮かべるのは「病原性大腸菌O-157」ではないでしょうか。
元々人間の大腸には大腸菌が存在しているのです。
しかし死亡例があるO157には注意が必要です。
実は人間の腸内にはとても多くの大腸菌が生きています。
その中で非常に危険だといわれるO157大腸菌の、潜伏期間や予防法そして対策法のお話です。
スポンサーリンク
O157について
O157とは「病原性大腸菌(びょうげんせいだいちょうきん)」のことですが、「毒素原性大腸菌」とも呼ばれています。
この大腸菌には有害な大腸菌もありますが、無害な大腸菌もたくさんあります。
有害される中でも、最も注意が必要な病原性大腸菌がO157でしょう。
それはO157が重篤な症状を引き起こし、抵抗力の少ない幼児やこどもたちを、死亡させる危険があるからです。
しかし私たち人間や動物の腸には、大腸菌だけではなくとてもたくさんの細菌が生息し、
500種類以上1000種類とも言われ、数にすると100兆個もの細菌が人間や動物の腸の中には生息しているのです。
細菌には「善玉菌」と「悪玉菌」そして「日和見菌」があります。
・善玉菌:ビフィズス菌、ガゼリ菌など、
・悪玉菌:ブドウ球菌、ウェルシュ菌、大腸菌など
があり、大腸菌はいまも空気中にも存在しているのです。
大腸菌には以下の5種類があります。
①腸管病原性大腸菌(EPEC)
②腸管組織侵入性大腸菌(ELEC)
③腸管毒素原性大腸菌(ETEC)
④腸管出血性大腸菌(EHEC)
⑤腸管凝集接着性大腸菌(EAggEC)
今回のテーマのO157は④の腸管出血性大腸菌です。
O-157の生存条件とは?
・水や土の中で約数週間から数ヵ月間も生存が可能です。
・安心してしまいそうな冷凍庫の低温条件でも生存が可能です。
・O-157の大多数は胃酸の中にあっても生存可能です。
そして、栄養分と水分があり暖かな環境下では盛んに増殖します。
しかし、熱には弱いという性質があり「75℃で1分間の加熱状態になると滅菌」します。
スポンサーリンク
o157とは?どんな症状?感染経路は?
O-157がなぜそんなに危険か?
その訳とは「毒素の強さ」が非常に強いという点です。
O-157の毒素は「ベロ毒素」という毒素で、この毒素は致死性の細胞毒性と言われています。
このベロ毒素は、(腸管出血性大腸菌)が生産し、タンパク質の合成を妨害します。
特に強く影響がある臓器として「大腸」「脳」「腎臓」です。
症状として、出血性の下痢、急性脳症、溶血性尿毒症症候群などの直接的な原因となります。
つまり、比較的軽い症状だけではなく後遺症の残るような急性脳症、急性肝不全などといった重篤症状や、死亡にまで至ることがある菌ということです。
O-157の潜伏期間は4~9日間(平均5日)と長いので早期に感染源の特定がで無いのが現状です
そのためO157に感染した食品が巷に流通してしい感染範囲の拡大による危険性が高くなります。
では、どのように症状が出てくるのかという問題についてです。
感染直後:症状は見られない
潜伏期間(4~9日):まだO-157の症状は出てきません
発症1日目:激しい腹痛と下痢の症状が見られます。
発症3日目:出血性大腸炎の症状である「出血性下痢」と「激しい腹痛」を訴えます。
発症7日目:溶血性貧血神経症状である、血小板の減少や尿量も減少してきます。
※今回の出血性下痢は血便とは違い、真っ赤な血です。
この症状になると発熱する場合もありますが、初期症状では風邪と間違えやすいので注意してください。
o157の予防や対策は?
加熱が不十分な状態の肉類や牛乳、また鮮度が落ちた生の野菜などからも感染するとも言われます。
清潔、加熱、賞味期限に十分注意しましょう。
①生の肉は控えめにしましょう。特に気温が上昇する梅雨時から夏場には要注意です。
②新鮮な食材を使うようにしましょう。
③加熱は内部まで十分に火を通すことが安心材料です。
内部温度が75℃以上1分間以上加熱で菌は死滅するといわれています。
④冷蔵庫を過信してはいけない。細菌の増殖しないように早めに食べましょう。
⑤手洗いと調理器具の清潔!調理前やトイレの後は必ず手を洗い消毒
o157の治療は?
治療としては、下痢に対する治療となります。
菌の増殖を阻止するために抗生物質が投与され、とにかく安静が必要です。
下痢状態ですので水分補給は必須です。
食べ物は、消化の良い刺激性の無い食事に心がけましょう。
脱水症状の場合には、点滴を行います。
そして、下痢止めは使いません。
それは、O157菌を体の中(大腸内)に残留させないためです。
まとめ:
O-157はとても怖い感染症です。
死に至るのはもちろんですが、後遺症が残る場合もあり注意が必要です。
O-157は潜伏期間が長いので、大丈夫と思っても手洗いとアルコール消毒はとても重要な予防でもあります。