フェムテックという言葉を聞きなれない方もいるかと思いますが、働く女性や更年期を迎えた女性などが悩む女性特有の健康問題を、企業や社会全体が共有し解決していく方策の一つとして注目されているものなのです。
経済産業省もフェムテックを活用して、働く女性の就業継続支援を行うべく、フェムテック企業、各自治体、医療機関などと連携し、サポートサービスの実証事業を行なっているところです。
そのフェムテックとはなにか、就業継続支援にどのように活用するのか、女性の更年期障害に対するフェムテックの活用法などについて、わかりやすく解説します。
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フェムテックとは?
フェムテックとは
フェムテック(Femtech)とは女性(Female)とテクノロジー(Technology)の二つの言葉から、それぞれの言葉の前半の部分を掛け合わせた造語です。
言葉の内容は、「生理・月経」「妊活・妊娠中の生活の質向上」「不妊対策」「妊娠期・産後」「更年期・更年期障害」など女性が健康問題で抱える様々な課題に対応・解決できる商品やサービスのことを意味しています。
市場規模は?
全世界の半分は女性なので、今後女性の健康の課題を解決・改善するための取り組みとして重要であり、2025年までに5兆円規模の市場になると予測されています。
フェムテックにはどんな商品があるのか?
主な商品は?
フェムテックにはどんな商品があるのか、ピックアップしたものをご紹介します。
- 生理・月経・・・生理用品、布ナプキン、月経カップ、月経管理アプリ・サービス、吸水ショーツ、デリケートゾーンクリーム、経血用洗剤など。
- 妊活・妊娠中の生活の質向上・・・ローション、マタニティウェア、妊活サポートアプリ・サービス、婦人科検索アプリ・サービスなど。
- 不妊対策・・・不妊治療、卵子凍結サービス、不妊サポートなど。
- 妊娠期・産後・・・授乳キャミソール、妊娠期ケア、つわり緩和、産褥期・授乳期ケア、搾乳機など。
- 更年期・更年期障害・・・ホルモン補充療法、漢方薬、更年期ケアサプリ、更年期ケア用品など。
- その他・・・健康相談アプリ、各種検査サービス、骨盤底筋トレーニンググッズ、健康カウンセリングなど。
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フェムテックという言葉が生まれたのはいつ頃?
女性の健康に問題あり
現在までは人口の半分を女性が占めるにも関わらず、医学などの分野では男性の健康問題や治療に対する実験などは男性を中心に行われてきました。
なぜ女性に対する実験が行われなかったかというと、女性が男性と異なる身体の構造をしており、妊娠や生理など男性に無い女性特有の出来事があるため、妊娠や胎児への影響を考えると非常にリスクが大きいと考えられていたためです。
また女性の身体に関することも、タブー視されていたことも影響はあったようです。
しかし、女性の健康問題に関する医薬品も以前から使用されていましたが、男性の実験データから作られたものでは、改善できないものも多いため、女性の健康問題に対して特化したサービスなどの必要が待たれていました。
フェムテックという言葉が生まれたのは?
そして2010年代になると、女性の健康問題に対する特化した会社が現れ始め、その中に「Clue」という会社も生まれました。
フェムテックという言葉は、ドイツのアイダ・ティン氏が、女性の健康問題に対するサービスを行う会社「Clue」を立ち上げ、生理日を管理するアプリを開発し、2013年頃から「フェムテック」という言葉を使い始めたのが最初と言われています。
フェムテックは企業で働く女性や就業継続支援に活用
経産省の補助事業
日本では経済産業省が2021年度から、フェムテックを活用した働く女性の就業継続支援として、「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助事業」を行なっています。
フェムテックの目的は、企業、各自治体、医療機関、周りの人たちにフェムテックを知ってもらうことで、何かを犠牲にしたりあきらめたりすることなく、ライフイベントや仕事を両立したい女性が、自分らしく生活することを実現させることです。
すなわち、働く女性が妊娠、出産、更年期などの女性特有の出来事に対して、本人が望まない離職を防ぎ就業が継続されることを目指します。
2022年度は、全国で20件程度の事業に対して上限500万円の補助をする予定です。
参入企業は?
また、フェムテックは女性が抱える多岐にわたる健康問題に関わり、今まで他の人になかなか相談できなかったことも解決できるツールとして、個人のみならず企業内でも提供できるサービスとして注目されています。
現在では、エムティーアイ、丸紅、帝人などの大企業を始め、多くの企業もフェムテック市場に参入をしています。
フェムテックは更年期障害の悩みも解決?
更年期とは
日本人の閉経年齢は個人差があり、早ければ40歳台前半、遅い人は50歳台後半の人もいます。
更年期とは、閉経前の5年間と閉経後の5年間を合わせた10年間のことを言います。
平均閉経年齢は約50歳なので、一般的な更年期としては45歳~55歳とも言われます。
そして、更年期になり病気ではないけれど、身体に対する異変の状況が重たいものを「更年期障害」と言います。
更年期障害とは
主な更年期障害には次のものがあります。
①精神的症状・・・イライラ、落ち込み、不眠、不安感、めまい、やる気が無いなど。
②血管・放熱症状・・・ほてり、のぼせ、発汗、寝汗、動悸など。
③皮膚・分泌系症状・・・喉の渇き、ドライアイなど。
④消化器系症状・・・吐き気、下痢、便秘、胃もたれ、胸やけなど。
⑤運動器官系症状・・・腰痛、肩こり、背中の痛み、手指の痛み、関節痛、しびれなど。
⑥泌尿器・生殖器系症状・・・失禁、性交痛、月経異常など。
フェムテックによる更年期障害対応は
フェムテックによる、更年期障害に対する対応にはどのようなものがあるのが、ピックアップしてご紹介します。
①WaiSE(ワイズ)・・・AIによる更年期の診断支援ナビゲーションシステムです。
女性に特化した診断支援ツールで、病院へ行く前にセルフチェックを行ない、更年期女性の症状を整理して問診の効率化を図ります。
②メノポーズテック・・・更年期に起きる症状を緩和することを目的としています。
オンラインの相談室や、更年期に合ったライフスタイルの情報提供を行っています。
③尿漏れケアショーツ、シルクランジェリー、膣トレグッズ、骨盤底筋ベルトなど。