時候の挨拶はたくさんありますが、
どの時季にどの時候の挨拶を用いればいいのか、
覚えるのは大変です。
ですが、親しい人へのお手紙やビジネス文書においても、
季節を感じさせる時候の挨拶は必須と言えます。
今回は2月の時候の挨拶の中から「向春の候」を取り上げます。
□2月の上旬、中旬、下旬の時候の挨拶 ビジネスやお礼状、招待状での使い方は?
□3月の上旬、中旬、下旬の時候の挨拶 ビジネスや学校、PTA、お礼状、招待状での使い方は?
スポンサーリンク
「向春の候」の時期はいつからいつまで?
「向春の候」は2月によく使われる時候の挨拶ですが、
一体いつからいつまでを指すのでしょうか?
その前に、まず「候」についての説明が必要かもしれませんね。
「候」というのは、中国の昔の暦で1年の360日を、
72等分した単位です。
360日72等分は5日ですから、「~の候」と言うとその5日ほどの時期を指すことになります。
とは言いつつ、実は「向春」は立春のように、この日!という日はありません。
つまり、いつからいつまでという明確な時期もないということになります。
しいて言えば、立春以降の主に2月に用いられます。
少し春らしさを感じ始めるころに使うイメージです。
ですから、もし送り先が北国であれば3月初旬まで使っても良いかもしれません。
スポンサーリンク
向春の候の意味と読み方
「向春の候」は、2月の立春以降に使われる時候の挨拶です。
この「向春の候」は「こうしゅんのこう」と読みます。
「向春」とは、「春が訪れようとしている」ことを意味します。
「向春」と同じく立春以降に使う時候の挨拶に、「余寒の候」というのもあります。
「余寒」が立春を過ぎたものの寒さが残る、
という意味合いが強いように感じられませんか?
それに対し「向春」は、字面から受けるイメージの通り、
立春以降の寒さも残ってはいるもののだんだんと春の気配も感じられる様を表します。
「向春の候」は具体的に使う時期が定められている時候の挨拶ではないようです。
ですから、その時の季節感や送り先の気候に合わせて使うと良いのではないでしょうか?
向春の候を使った例文
ここでは、「向春の候」を使ったお手紙の例文を示しておきます。
“拝啓
向春の候 貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のお引き立てを賜り誠にありがとうございます。
さて、この度小社は業務拡大に伴い、本社を下記の通り移転することとなりました。
新社屋は駅にも近く皆様も足を伸ばしていただきやすくなりました。
スペースも広く皆様のご来訪に十分に対応できるものと存じます。
これを機に、社員一同全力を挙げて皆様のご期待に沿えるよう、社業に努めていく所存です。
何とぞ、倍旧のご愛顧、お引立てを賜りますようよろしくお願いいたします。
まずは、略儀ながら書中をもってごあいさつ申し上げます。
敬具”
今回は、社屋の引っ越しに際したご挨拶状をご紹介しました。
ちなみに拝啓は「謹んで申し上げます」の意で、結語は「敬具」です。
今回のような堅めのビジネス文書では、あまり結びの文は使われないようです。
ビジネス場面であっても、個人でのやり取りであれば季節を感じさせる言葉とともに、相手の体を思いやるような結びの文があっても良いでしょう。
なかなか使い分けが難しく感じる時候の挨拶ですが、「向春」は字だけ見ても季節感を感じやすく、使いやすい気がします。
立春を過ぎて春の気配を感じたら「向春の候」を使いましょう!