出会いと別れが多い春には、
挨拶状などのお手紙をお送りする機会も多いと思います。
そんな春には新たな門出の報告や祝福をしたり、
相手に環境の変化があったならばその緊張を和らげたりするようなお手紙を送りたいですね。
そんなお手紙を彩る時候の挨拶から、
今回は「陽春の候」ついて解説していきます。
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「陽春の候」はいつからいつまで使う時候の挨拶?
時候の挨拶とは、“拝啓”などの頭語に続く礼儀文です。
季節感を表し、季節に応じた心情を表現します。
「陽春」とは、“春の盛り”を意味します。
陽春には陰暦を正月という意味もありますが、
時候の挨拶とはその頃の実際の季節感を表現し、
挨拶とするものなので、「春の盛り」という意味合いで用いる方が適切でしょう。
現在、春とは一般的に3月~5月です。
ですから、「春の盛り」と言えば、春の真ん中である4月頃を指すと考えると分かりやすいと思います。
ですが、「陽春」という字からが感じられるとおり、4月でも陽気が感じられないようであれば使うのは不自然です。
「陽春の候」とは春の陽気が感じられる4月上旬から4月いっぱいの時期でしょう。
□3月の上旬、中旬、下旬の時候の挨拶 ビジネスや学校、PTA、お礼状、招待状での使い方は?
□4月の上旬、中旬、下旬の時候の挨拶 ビジネスやお礼状、招待状での使い方は?
地方によってもその季節感は違います。
相手の住まいの季節感に合わせて使いましょう。
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「陽春の候」の意味と読み方
春の時候の挨拶のひとつ「陽春の候」は「ようしゅんのこう」と読みます。
「陽春」とは、字のごとく“陽気の満ちた暖かい春”“春の盛り”という意味です。
そして「候」とは、季節や時季を表しています。
ですから「陽春の候」と言うと、「暖かい春の陽気が満ちた季節になりました。」という挨拶になるのです。
「陽春」だけで言えば、陰暦のお正月である1月という意味もあります。
ですが、時候の挨拶として季節感を表現し心情を込めるとすれば、「陽春」は「春の盛り」という意味だと考えるが妥当でしょう。
余談ですが、「陽春の候」と似たものに「春陽の候」があります。
「春陽の候」は「春の日差しを感じられる頃」という意味です。
つまり、陽春の春の盛りより以前の時季を指しています。
非常に似た「陽春の候」と「春陽の候」。
使い分けに注意してくださいね!
「陽春の候」の季節の挨拶を使った入学祝いの例文
「陽春の候」を使用した具体的なお手紙の例文を紹介しましょう。
今回は、ぽかぽか陽気を表す「陽春の候」ということで、入学祝いのお手紙を例に挙げます。
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拝啓 陽春の候、皆々様にはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、ご令息太郎君も小学校ご入学ですね。
ついこの間お誕生だと思っておりましたのに、すくすくとご成長する姿にお二人もお喜びのご様子が目に浮かぶようです。
誠におめでとうございます。
つきましてはご入学のお祝いに、まことに僅少で恐縮なのですが、図書券を同封させていただきました。
何もかもお揃いのお宅様のことと存じますが、お役に立てて頂ければ幸いです。
まずは取り急ぎお祝いまで。
敬具
●月●日
○○○○(署名)
■■■■様(宛て名)
追伸 ぴかぴかのランドセルを背負った太郎君のお姿を拝見に、近々お邪魔させていただきます。
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いかがでしょうか?
今回、結びの文を「まずは取り急ぎお祝いまで。」としましたが、先の時候の挨拶「陽春の候」と合わせて「春爛漫の今日この頃、どうぞご家族皆様お健やかにお過ごしください。」などとするのも良いですね。
入学祝いのお手紙には「陽春の候」という時候の挨拶は、明るい雰囲気と希望に溢れた感じがぴったりですね。
入学式の時期には、桜もまだ咲いていない地域もあります。
そのような地域にお手紙送る際には、違う時候の挨拶を選ぶよう注意した方がいいかもしれません。