四季折々を表現した時候の挨拶には実に様々なものがあります。
そのなかで「新涼の候」という時候の挨拶をご存知でしょうか。
涼が新しい、とは一体どのような時期を表した挨拶なのでしょうか。
そしてどのような意味をもつ挨拶なのでしょうか。
新涼の候の読み方と意味
「新涼の候」この読み方は(しんりょうのこう)です。
「新涼」の意味は、秋の初め、涼しくなり始めた頃を表しています。
夏の「涼」は、暑さの中で感じる涼しさを表していますが、
秋の「涼」は、暑さが弱まり秋の訪れを感じさせる涼しさを表しています。
うだる様な夏の暑さの中で涼しさを感じると、つい一休みしたくなります。
過ごしやすい秋に涼しさを感じれば、活動的になります。
考えてみると、同じ「涼」でも、
時期によってこのような違いがあるようです。
新涼の候の時期は?いつ?
「新涼」がいつの季語かといいますと、9月となります。
「秋」の始まりは「立秋」からとなります。
二十四節気によると、秋の初め、
初秋を表すのは「白露」までとなっております。
いつの時期を表わしているのかといいますと、
8月7日頃から9月8日頃となります。
白露の頃は、草木に朝露が宿る頃とされており、
刻々と秋の気配が深まりはじめる、とされています。
この時期はまだまだ厳しい暑さの続く頃かと思われますが、
暦の上では秋です。
季節が夏から秋へと移ろい始め、
日々涼しくなる時期を表した時候の挨拶なのです。
夏の暑さが幾分か和らぎはじめ、
吹く風に心地よい涼しさを感じる頃、
そのような時期に「新涼の候」という季節の挨拶を使われてみるのはいかがでしょうか。
新涼の候の使い方・時候の挨拶を含む拝啓から始まる例文と結び
「新涼の候」の使い方の例文をご紹介したいと思います。
(頭語)から始まり時候の挨拶となります。
親しい間柄の相手ですと、
あえて(頭語)を省略することで親密さを表すこともあるようです。
ですが、一般的には相手に対する尊敬の念を表現するために
(頭語)と(結語)を対で使います。
・拝啓 新涼の候、さわやかな秋風が吹く季節となってまいりましたが、
いかがお過ごしでしょうか。
・拝啓 新涼の候、虫の音が心地よく響く季節となりました。
お変わりございませんか。
・拝啓 新涼の候 朝夕の風に秋の気配が漂う今日この頃、
皆様におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
終わりに、相手の健康を気遣い(結後)で文章を結びます。
拝啓から始まりましたので、敬具となります。
・秋の気配が色濃くなって参りました。
朝夕の冷え込みに、お風邪など召しませぬようご留意ください。 敬具
・実り多き秋となりますよう、お祈り申し上げます。 敬具
・清涼の季節、ますますのご活躍をお祈り申し上げます。 敬具
・残暑去り難き折、ご自愛専一にお過ごしください。 敬具
まだまだ暑さを感じる時期でしたら
残暑を使った結びの挨拶もよいかと思われます。
日増しに初秋の訪れを感じる時期に
「新涼の候」を用いた残暑見舞いなどはいかがでしょうか。