季節を表現した挨拶文には実に様々なものがあります。
例えば
「麦秋の季節となりました。
皆様お元気でお過ごしでしょうか」
このような挨拶文を見かけると、
お米の収穫時期である秋を
連想される方も多いのではないでしょうか。
稲が風にそよいで黄金色のに輝く
光景が目に浮かんでくるようです。
しかし、本当にこのような光景のとおり
秋を表現している挨拶文なのでしょうか。
そして「麦秋の候」とは
一体どのような意味をもった挨拶文なのでしょうか。
麦秋の候の読み方や意味は?
読み方は「麦秋の候(ばくしゅうのこう)」です。
麦秋は「むぎあき」「むぎのあき」と
読まれることもあるようです。
「麦秋」には「秋」がついていますので、
一見すると秋の季語だと思われがちですが、
実は「初夏」を表す季語となっているのです。
では、どうして初夏を表していることになるのでしょうか。
もちろん地域によって
差はありますが、
麦は秋から初冬かけて種をまき、
初夏になって収穫をむかえます。
そして多くの地域では5月から6月にかけての初夏が、
黄金色に実った麦の収穫時期となっているのです。
つまりこの「秋」とは、
季節の春夏秋冬のなかの
「秋」を指しているわけではなく、
穀物が実り収穫期を迎えたことを指すこととなりました。
麦秋の候の時期はいつ?
主にいつ、何月に使われている挨拶文かといえば、
5月終わりから6月初旬あたりとなります。
地域によっての違いはありますが、
梅雨入り前の時期に使われる時候の挨拶となります。
わずかに限られた短い期間の時候の挨拶文となりますが、
だからこそよりいっそう季節に対する気持ちが
伝わる挨拶となるのかもしれません。
麦秋の候の使い方や時候の挨拶の例文と結び
まず最初に拝啓などの「頭語」からはじまり、
次に季節を表現する言葉を続けます。
これが「時候の挨拶」となります。
そして、相手の安否などの様子を気遣った
言葉を続け本題にはいります。
一般的に多く用いられる(拝啓)を頭語にした
「麦秋の候」の使い方をご紹介したいと思います。
・拝啓 麦秋の候、吹く風もすっかり夏めいてまいりましたが、お元気でお過ごしでしょうか。
・拝啓 麦秋の候、眩しさを増した光に春から初夏へと季節のうつろいを感じる今日この頃ですが、お健やかにお過ごしてしょうか。
・拝啓 麦秋の候、若々しい青葉も日増しに濃さを増してまいりましたが、お変わりございませんか。
・拝啓 麦秋の候、吹き渡る風に初夏の気配を感じるころとなりましたが、お元気でお過ごしでしょうか。
梅雨入り前の初夏を思わせる陽気など、
晴れやかな様子など伝えてみるのはいかがでしょうか。
そして、挨拶文の最後には
相手に対する気遣いの挨拶文と、
頭語と対になる結語の(敬具)で挨拶を結びます。
・向暑の折から、くれぐれもご自愛ください。敬具
・梅雨入り間近となってまいりました。風邪など召しませぬようご自愛ください。敬具
・寒暖の差が大きい季節柄、なおいっそうご自愛ください。 敬具
・風薫る新緑の中、ますますのご健勝をお祈り申し上げます。 敬具